月60時間を超える法定時間外労働に対しては、
50%以上の率で計算した割増賃金を支払わなければなりません。

(この記事は、2023年5月9日現在の情報をもとに作成しています)
こんにちは。
ソーティ社会保険労務士法人です。
本日は、2023年4月から改正になった労基法の大事な部分についてお話しします。
法改正の内容
いつから
対象
計算方法
その他
1. 法改正の内容
1か月60時間を超える法定時間外労働に対しては、使用者は、50%以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
元々は大企業のみが上記の扱いになっていました。
中小企業は今まで、25%で計算して問題ありませんでした。
これからは中小企業も、
50%以上の率で割増賃金を計算しなければいけません。
2. いつから
2023年4月1日から 労働させた時間について
3. 対象
中小企業(25%で計算していた会社すべて)
60時間超の残業をする従業員がいる会社は、要注意です。
給与計算を今まで通りしてしまうと、賃金未払いになります。
※弊法人が給与計算をしている顧問先様には、事前に連絡させていただきました。
4. 計算方法
これからの賃金の計算方法をご説明します。
割増賃金率
■ 時間外労働(60時間以下) 25%
■ 時間外労働(60時間超) 50%
■ 法定休日労働 35%
(例)
70時間の時間外労働があった場合。
法定休日労働なし。
1時間当たりの賃金は1,200円。
60時間×1.25×1,200円=90,000円
10時間×1.5×1,200円=18,000円
残業代は
90,000円+18,000円=108,000円
※深夜労働は注意
深夜(22:00~翌朝5:00)の時間帯に、
60時間を超える法定時間外労働を行わせた場合は
深夜割増賃金率25%+時間外割増賃金率50%=75%以上
で計算しなければいけません。
5. その他
1.固定残業代のこと
60時間超の固定残業代をつけている会社の場合、
毎月支払う給与が変わることになります。
固定残業時間を変えずに、給与アップするか。
いまの固定残業代にあわせて、みなし残業時間を変えるか。
考えてみる必要があります。
2.代替休暇制度をつくる
「引上げ分の割増賃金の代わりに、有給の休暇(代替休暇)を付与する」
という制度を作る方法があります。
制度を作るためには、過半数組合(ない場合は過半数代表者)との間で
労使協定を結ばなければいけません。
制度を導入しても、取得するかどうかは労働者次第です。
厚生労働省「月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます」(2022.4)